「なんで外したんだ?」


決定的な場面でシュートを外してしまった子どもに、僕はずっとこう問いかけてきました。


けれど、


なんど同じように問いかけても返ってくるのは


言い訳ばかり。


 

  • 「だって相手が上手なんだもん」
  • 「ボールに空気が入っていなかったから」
  • 「イレギュラーバウンドしたんだもん」

 


あいた口が塞がらず、

「言い訳するな!」と叱りつけてしまったことは

1度や2度ではありません。


技術を向上させられないばかりか、

子どもたちを叱りつけることしできない自分自身に嫌気がさしてもいました。

 

 


けれど、

質問を変えるだけで、

変化を促すこともできます。


「どうすれば、決められたと思う?」


怒られると思っていた子どもは、

最初は驚きに満ち、戸惑っていました。


しかしながらすこしずつその子なりに、次はゴールを決めるためのアイデアを考えはじめてくれたのです。

 


  • シュートを外した子ども。
  • 質問する僕。

 


まったくおなじシチュエーションでも、一方では言い訳が返ってくるのに対し、もう一方ではアイデアが返ってきます。



質問を変えるだけで

大きな変化が生まれるのです。

 


別の事例で考えてみましょう。


投稿時刻を過ぎて学校へやってきた子どもが目の前にいます。何度も繰り返す遅刻にあなたはやきもき。こんなとき、あなたはどんな質問をしますか?


「なんで、遅刻したんだ?」


あなたの心の声、そのものですね。

気持ちはわかりますが、それでは、子どもから言い訳が帰って来るばかり。もしくは、黙り込んで、ひたすらその場をしのごうとする姿勢も見えるかもしれません。


けれど、

質問を変えるだけで、変化を起こすことができます。


「どうすれば、遅刻せずに登校できたかな?」


怒られると思っていた子どもの表情は、最初は驚きに満ち、戸惑っているかもしれません。けれど、次は遅刻せずに登校するためのアイデアを、子どもなりに考え始めます。

 

  • 遅刻をした子ども。
  • 質問する僕。

 


まったくおなじシチュエーションでも、

一方では言い訳が返ってくるのに対し、

もう一方ではアイデアが返ってきます。


質問を変えるだけで

大きな変化が生まれるのです。

僕が暮らしている海士町(隠岐諸島)の海



自己紹介が遅れました、藤代圭一です。


主に質問に関する書籍を執筆したり、教育関係者、スポーツ指導者、保護者のみなさんに講演やメンタルトレーニングをお届けしています。


ありがたいことにご縁のある方に恵まれ、

地域で1勝を目指すチームから全国大会優勝選手や日本代表チームにも関わらせていただいています。



お恥ずかしながら、

言い訳を引き出しやすい「なんで?」という質問を

多用していたのは僕自身なのです。



当時、

サッカー指導者をしていた僕は、


やる気のない子どもを見つけては「やる気がないなら来なくていい!」と罵声を浴びせ、


「なんでそんなこともできないんだ!」と欠点やミスばかりを指摘し、


子どもたちのやる気や自信を奪っていたのです。




 

「もう、サッカーが嫌いになったから辞めるんだよ」


あなたは、

誰かの「好き」を「嫌い」へと導いてしまったことはありますか?


書店に足を運べば

「嫌いを好きにする方法」や「嫌いだった教科が好きになる」といった趣向の書籍がたくさん並んでいます。



けれど、

「好きを嫌いにする方法」を目にすることはありません。


なぜなら、

誰もがそんなことは望んでいないし、当事者の誰もが下手なことを言って、無能だと思われることは避けたいと考えます。


僕もできることなら、言いたくありません。

文字通り、穴があったら入りたい気分です。



けれど、

過去の失敗とそこからの変化をお伝えすることで、

少しでも前向きな気持ちになったり、

子どもや選手と関わるヒントになったらと思い、

勇気を出して発信しています。

 



あらためて、質問です。


あなたは、誰かの「好き」を「嫌い」へと導いてしまったことはありますか?


胸に手を当てて、正直に答えてくださいね。

そうです、ありますよね?

ないですか?ありますよね?



 

残念ながら、僕にはあります


「もう、サッカーが嫌いになったから辞めるんだよ」


罵声を浴びせ、

欠点やミスばかりを指摘しつづけた結果、

あれほど好きで仕方のなかったサッカーを「もうやりたくない」と口にさせるまで僕が追い詰めてしまいました。



 

輝きを失った目。

感情のこもっていない声。

背筋が丸まり、

自信を失っている背中。


 

いまでもその光景はまぶたの裏側に焼き付いています。


当時、140名を超えていたサッカースクールは退会者が続出。

存続までもが危うくなってしまったのです。


少しだけ弁明させてもらえるのなら、

僕は彼らを追い込みたくて追い込んだわけではもちろんないのです。

「子どものため」を思い、自分なりに試行錯誤してはいるつもりでした。


過去の経験から学び、僕自身が受けたことのある指導に近いものだったはずなんです。



しかしながら視野の狭い僕には

「子どものため」をはき違えていることに気づきもしませんでした。


僕が口にしていた「彼らのため」は、

僕自身の「正しさ」をただただ押しつけ、


「子どもからなめられたくない」

「より大きく見せなくては」


といった自分の中にある恐れからくる行動だと気づくまでに、だいぶ時間ががかってしまいました。



けれど、

そんな僕でも質問を学び、実践し、たくさんのトライアル&エラーを繰り返しました。


僕自身が質問を実践し、

人生が変わる生の経験をしたのです

 

 


 

そんな変化を実感したのは僕だけではありません。



  • 模擬テストで平均70点から全国一位へ
  • 年間1勝しかできなかったチームが市内大会優勝
  • たった6名だった地方スポーツ少年団が60名以上に
  • 不登校だった子どもが、自ら学校へ登校
  • 仲間を見下していた子どもが、リーダーとなりチームをまとめる


などなど、


質問を通じて、教室やチームが変わり、

子どもたちにも変化が続々と起きています。



けれど、

質問であればどんな質問でもよいかと言えばそうではありません。


冒頭でも紹介した通り、


「なんでミスしたんだ?」などに代表されるミスや失敗を指摘する尋問


答えを意図的に誘導する誘導質問


質問の形に見せかけ、命令のメッセージを含んだ命令質問


など、質問には種類があります。

 

 



 

僕たちの社会を取り巻く、

複雑性や変化のスピードは増していくばかりです。


過去に「正解」とされていたよい学校に進学して、大きな会社に就職すれば将来安定という考え方は遠い過去のものになりました。



また、

現代は検索すれば、比較的簡単に答えが手に入る時代です。


子どもたちも、

ゲームで行き詰まれば攻略動画を検索し、

新人社員は「何が正解ですか」「とにかく答えを教えてください」と上司にせがみます。



スポーツの現場に足を運べば、

ベンチに座る監督やコーチばかりを気にしながら

プレーをする子どもたちを目にすることは少なくありません。

一刻一刻と変化するピッチの中に答えがあるはずなのに、

ベンチに座る監督に答えを求めながらプレーしているのです。



自分で考えることを放棄し、

監督に答えを求める。


年齢を重ねても僕たち大人がそばにいて、逐一、指示やアドバイスを送ることができればそれでもよいかもしれませんが、そんなことはまずできません。

 


また、

「正解」はものすごいスピードで変化し、誰もがその答えがわからないでいます。



変化の激しい時代に生きている子どもたちに必要なことは、


答えを探すのではなく、

自分自身で問いを探すこと、生み出すことです。



答えではなく問いを探す重要性は、

僕たち大人にもあてはまります。



新型コロナウイルスが猛威を振るう中、自身のライフスタイルのあり方や働き方を見つめ直した方も多いと思います。

 

  • 「わたしが本当に大切にしたいことは何だろうか?」
  • 「学校は何のためにあるのだろうか?」
  • 「スポーツの本当の価値は何だろう?」


答えを探すことよりも、問いを探すことの重要性は、

いまにはじまったことではありません。

 


アインシュタインは


「あなたが死にそうな状況になって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、どんなことをしますか?」という記者のインタビューに対し「最初の55分間は、適切な質問を探すのに費やすだろう」と答えたといいます。

 


スティーブ・ジョブズは日々、自分自身に対して

「もし今日が人生の最後の日だったら、今日やろうとしていることを自分は本当にやりたいだろうか?」と問いかけていたと言います。



50年以上前、パブロ・ピカソは「コンピューターは役に立たない。答えしかくれないから」という言葉を残し「問い」の重要性を説きました。


半世紀たって、僕たちはようやくそこに気づき、誰もが同じ答えを見ていた時代は終わり、これからはそれぞれが問いを持ち、答えを見つける時代に変化しているのです。

質問力養成講座はどんな内容なの?



オンラインスクール版「スポーツ指導者のための質問力養成講座」では下記の内容をお届けします。受講者のみなさんとの対話をもとに、一部変更する可能性があります。


◎この講座で学べること


  • なぜ、質問なのか
  • 効果的な質問と尋問の違い
  • 質問の種類と質問が与える5つの特別な力
  • どんな質問をしたらいいの?迷ったときにしたい「9つの質問」
  • 相手に質問をする、自分に質問をする
  • 質問の型をつくる
  • 型からオリジナリティを生み出す
  • 質問で失敗する典型的な例

 


◎こんな方におすすめです


  • 質問力を高めたい方
  • 本来備わっている子どもの力を信頼したい方
  • 長い目で見て、子どもの成長に関わりたい方
  • いままでのご自身の指導スタイルに疑問を持っている方
  • 力を抜いて、子どもに自分らしく関わりたい方
  • 子どものいまと未来を応援したい方

 


◎こんな方にはおすすめではありません


残念ながらこの講座は効果を感じて頂ける方もいらっしゃる一方で、おすすめでない方もいます。「いますぐに結果を出したい方」や「長期的な視点よりも、短期的な視点を大事にしている方」にはお力にはなれないと思います。

This course is closed for enrollment.

藤代 圭一(ふじしろけいいち) 
メンタルコーチ



一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。全国優勝チームなど様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。2016年より全国各地に協会認定インストラクターを養成。その数は350名を超える。選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とする。http://shimt.jp

鎌田賢二(かまだけんじ)


道徳教育を専門として、京都市小学校道徳教育研究会で「子どもが本来もっているものを引き出す」ための指導技術や教師のあり方を研究。平成27年度文部科学省道徳指導資料作成委員や他にも、小学校光村道徳教科用図書「きみがいちばんひかるとき」編集委員をしている。大学などでの講演、他小学校への道徳指導・助言、家庭教育学級など行っている。

よくあるご質問と答え

 

Q:教師、教育者しか参加できませんか?

A:スポーツ指導者の方や保護者の方もご参加いただけます。ですが、内容は教育に関わる方々へのものにエネルギーを注いでおりますことをご了承ください。


Q:小さな子どもがいるのですが、参加しても大丈夫ですか?

A:ワークを通じて対話をする時間もありますが、それ以外は音声をミュートにすることで、まわりに音声が聞こえなくなりますのでご安心ください。また、小さなお子さんの声が、場を和らげてくれることもあると僕は考えていますので、歓迎しています。


Q:プロコーチではなく、お父さんコーチですが大丈夫できますか?

A:もちろんです!いままでも多くの方にご参加いただいておりますので安心してくださいね。


Q:すでに教師を引退したのですが、参加しても良いですか?

A:もちろんです。未来の育成にお役立ていただけたら嬉しいです。


Q:支払い方法は選べますか?

A:基本的なお支払い方法はクレジットカードですが、お振込をご希望の方は下記よりお問い合わせください。


この他にも質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらへ しつもんメンタルトレーニング事務局→ [email protected]





さいごに


藤代圭一です。

3月3日に新刊「教えない指導」が発売になりました。


今回の書籍は僕だけでなく、京都市立桂川小学校の教頭先生であり、道徳のプロである鎌田先生と一緒につくったのものです。


いままでにたくさんの方に質問力(発問力)についてお伝えする場はありましたが、時間をかけてゆったりと学び合う機会は初めてです。


コロナ禍において、思い通りの活動ができない方も多いかと思いますが、この機会にご一緒できたら嬉しいです。


ありがとうございます!

This course is closed for enrollment.